
今年も毎年恒例のKom in de Kasが4月2日~3日の週末に開催されました。今年で34年目を迎え、オランダ国内で24ヶ所、200以上の商業生産温室を一般市民に開放しました。今年は天気にも恵まれ、オランダ国内外から約185,000人が来場しました。
私が訪れたオランダで最も施設園芸が盛んなWestland地区(Monster、Poeldijk)では、オステオスペルマム、カンパニュラ、セネッティ、ヘレボラス、スプレーギク(2件)、房取りトマト(2件)、アルストロメリア、ナス、ファレノプシス、ドラセナ、ディプラデニア、マイクロベジタブル、ビオラの生産温室を見学することができました(写真①②)。

今回は3件の先進的な生産者を紹介します。
1件目は、アルストロメリア生産者のBZ Alstroemeriaです。オランダのアルストロメリアの経営面積は、1999年の124haから2009年までに68haまで減少しており、生産者数はこの10年間で155戸から57戸に1/3近くまで減少しています。大規模化しているわけではなく、小規模な生産者が年々減っています。2009年のオランダの市場への全出荷量は、2.14億本で平均単価は0.15ユーロでした。BZ Alstroemeriaは、新しい温室に補光、CO2局所施用、細霧冷房、労働管理システムなどの設備を導入し、2ha前後の規模で収穫に8名、出荷調整に5名で経営をしています(写真③)。アブラムシやスリップの防除には、シンジェンタバイオラインのスワルスキーマイトのサッシェタイプが使われていました(写真④)。アルストロメリアの生産者が減っている理由には、やはり他の切り花と同様に南米からの輸入が増えているからと話してくれました。良いものを作るために必死で仲間と頑張っているとのことでした。

2件目は、スプレーギク生産者のMichel Grootscholtenです。オランダのキクの栽培面積は、1999年の8134haから2009年までに493haまで減少しており、生産者数はこの10年間で654戸から225戸に1/3近くまで減少しています。キクも近年コロンビアなどとの競争が激化していますが、まだまだオランダの切り花産業では最重要品目の一つです。1999年には1戸あたりの平均経営面積は1.2haでしたが、10年後には2.2haになっています。これは、機械化によるスケールメリットや生産性や回転数の増加(年5作)に起因していると考えられます。2009年のオランダの市場への全出荷量(スプレーギクのみ)は、12.4億本で平均単価は0.19ユーロでした。Michel Grootscholtenは、オランダでも大規模な生産者で、11haの築2年半の温室を経営しています。1棟で11haなので、温室に入った瞬間反対側が全く見えないので、オランダの施設園芸を見慣れている私も驚きました(写真⑤)。一般市民が理解しやすいようにステージ毎のキクの栽培方法の説明がありました(写真⑥)。設備は本オランダ通信でも度々登場している自動定植機や高圧ナトリウムランプ、CO2局所施用、自動収穫バサミ、ベルトコンベア、自動防除機など標準的ですが、通常は14列を1畝(実際には畝立てはしていない)として、人がぎりぎり通るために隣に1列空けるのですが、ここではその“15番目の列”も定植されていました(写真⑦)。全く人が入るスペースがないので、写真⑧のようなリフトで上から作業を行います。
3件目は、今回最も注目を集めていたKoppert Cress社です。同社は、かいわれダイコンやスプラウトなどのつまものを栽培し、ユニークで革新的な経営をしている会社です(写真⑨)。社長のバーン氏は、以前に種苗会社に勤務しており、日本にも駐在経験があり、日本の新聞でも紹介されました。様々な異文化や食文化の経験を生かして、自社で開発した品種を栽培するだけでなく、大型スーパーや日本食材店に販売したり、レストランに直接提案を行ったりしています。社内には本格的なキッチンが設けられており、国内外の有名シェフを招いて商品やアイディアの提案を行っています。通常であれば、単価の低い商品ですが、革新的なアイディア、優れたマーケティング力、ネットワークにより、非常に付加価値を付けています。オランダでも多くの賞を受賞しており、新規参入でありながら、オランダも最も成功している農業経営者の一人であると言えます。ちょうど、生産温室を増築しているところで、軒高は目測で6m以上あり(写真⑩)、最新の半閉鎖型温室にLEDによる補光(写真⑪)、自動化されたローリングコンテナ(写真⑫)と、同社の勢いを一目で感じ取ることができました。