
今回は施設園芸とは関係ありませんが、昨年12月に福岡、大阪、横浜で行われた「サステナブルオランダ・セミナー」から、オランダの新しい街づくりとしてゼロエミッションタウンとして注目されているヘールヒューホヴァールト(Heerhugowaard)、通称「太陽の町」をご紹介します。
近年オランダでは、居住地区の拡張に伴い、各地で新居住地区が作られており、エネルギーシステムの効率化などにより、持続可能型な都市開発が進んで います。その中でも北ホラント州に位置するヘールヒューホヴァールトは、自然エネルギーを積極的に用いて、完全ゼロエミッションコミュニティーを実現する ことを目標にしています。
ヘールヒューホヴァールト南部の開発計画は、20年前に遡り、ヘーアヒューホヴァールト、アルクマー ル、ランゲダイクの3つの自治体間による構造ビジョンから生まれました。計画に10年、実行に10年の年月がかかりました。この地区は海抜-3.5mで、 かつて湖だったところを干拓して農地にしましたが、その土地をうまく使い、緑の牧草地から1辺720mの正方形型の島を作り上げました。この町の特徴は、 環境に優しいという点だけではなく、社会一体性や住民の健康、生活の質、憩いの場、安全性に配慮した道路づくり、町としての持続可能性などがあり、様々な 革新的な取り組みが行われています。
太陽の町は、1/3が自然保護地区、1/3が水路や湖、1/3が居住地区(約1,600戸) と分かれており、さらにこれらは住宅・商業地区、学校・託児所・医療・ケアセンター・コミュニティー施設、自動車道・自転車道・歩道・水路、レクリエー ション地区などに細かくゾーニング計画されています。学校は将来的に高齢者向けのアパートにも転換できるように予め設計されています。町の南にあるレクリ エーション地区は、ルナの公園と命名されており、生態系の保存と住民の憩いの場、木々による二酸化炭素の吸収の役割を持っています。湖の水は循環して浄化 されており、水泳やウォータースポーツを楽しむことができ、散歩やサイクリングのコースなどもあり、コミュニティーの中で安全に自然に触れることができま す。その他、レストランや音楽・文化センター、多目的スポーツセンターなどのアクティビティ施設も充実しています。
この町で使用 される電力の一部は、町中の住宅や商業施設に設置された太陽光パネル(総面積55,000m2、2.5メガワット)や3基の風車により発電されて賄われて います。さらに住宅には高断熱性の資材を採用したり、スーパーマーケットには蓄熱システム、LED照明などを用いてエネルギーの消費量を低減させたりする 取り組みも行われています。また、自転車やバス用の道路を整備して、町の中ではできるだけ車を使わない設計になっています。2010年のCO2バランス は、建築環境、移動手段、公共事業による総排出量が6,248トン/年であったのに対し、再生可能エネルギーによる発電および森林によるCO2の吸収によ り回避された総CO2排出量は10,913トン/年であったことから、すでにカーボンニュートラルが達成されています。
この町が 大切にしていることは、住民の声を聞くということです。市長や市のスタッフが、住民と対話する機会を積極的に設け、満足していることや不満に思っているこ となどを聞き入れて、さらなる改善へと繋げます。2030年までには、風力、太陽エネルギー、蓄熱、地熱、バイオマスなどの再生可能エネルギーをフルに活 用した完全ゼロエミッションコミュニティーの実現を目標としています。オランダあるいは世界でも初めての成功モデルとなるよう高い志と行動力を持ち、開拓 者精神を持った町であると言えます。
<Leendert Verhoef氏発表資料より>
<Reint Mellema氏発表資料より>
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